クラウドサービスの普及に伴い、AWSとAzureの基礎資格はIT業界の登竜門的存在になっています。

私もそれぞれの基礎資格であるAWSクラウドプラクティショナー(CLF-C02)Microsoft Azure Fundamentals(AZ-900)を1ヶ月の学習で取得しました。どちらもクラウド初学者向けの資格ですが、実際に受けてみると試験形式・難易度・勉強方法に明確な違いがあります。

この記事では、両方取得したからこそ分かるリアルな比較をお届けします。これからクラウドの勉強を始めたい人や、「AWSとAzureのどっちを選べばいいか分からない、、」という人は参考にしてください。

また、AWSクラウドプラクティショナーとAZ-900の具体的な独学勉強法について紹介している記事もあるので、参考にしてみてください。

両資格の概要

AWSクラウドプラクティショナー

Amazonが提供しているクラウド「AWS」の資格です。クラウドプラクティショナーは、AWS資格の中でも最も基本的な資格の1つであり、クラウドに携わる全ての人におすすめの資格です。

AWSクラウドプラクティショナーの試験概要はこちらです。

  • 試験時間:90
  • 問題数:65問(選択式)
  • 合格点:700点(満点:1,000点)

AZ-900

Microsoftが提供しているクラウド「Azure」の資格です。AZ-900は、Azure資格の中でも最も基本的な資格であり、こちらもクラウドに携わる全ての人におすすめの資格です。

AZ-900の試験概要はこちらです。

  • 試験時間:45
  • 問題数:35問前後(選択式)
  • 合格点:700点(満点:1,000点)

試験形式の比較

ここから、2つの資格の違いを様々な観点から紹介します。まずは、試験形式の比較からです。

受験方法は全く同じ

どちらの資格もCBT形式という、試験会場に設置されたコンピュータを使って実施する試験方式です。大学受験などのように受験日が決まっておらず、自分の受けたいタイミングで受験することができます。

私も、2つの資格は全く同じ試験会場で受験しました。試験日や時間を自分で決めることができるため、仕事や予定などの都合のよいタイミングで実施でき、とても便利な仕組みだなと感じました。

AZ-900の方が問題数が少ない

問題数はAWSが65問なのに対し、AZ-900は35問程度と少なめです。試験時間もAWSが90分、AZ-900が45分であり、AZ-900の方が試験ボリュームが少ないです。なお、試験は問題を解き終わったら早く終了することもできます。私の感覚だと、試験時間の半分程度の時間で終わるため、試験時間を気にすることはありませんでした。

問題数が多い、少ないはどちらがよいのか意見が分かれるところだと思います。問題数が多いと疲労は大きいですが、1問ごとの重さが軽くなり、多少ミスをしても大丈夫という気持ちで取り組むことができます。私は早く試験を終えたい気持ちが強かったので、AZ-900の問題数が少ない方が好きでした。

どちらも合否がすぐに分かるが、AWSは点数が後日連絡される

※私が受けた時点での話になります。形式などは変更される可能性があることをご了承ください。

どちらの試験も、試験終了直後に合否結果が画面に表示されます。AZ-900では点数と合否結果が表示されていましたが、AWSは合否結果のみが表示されていました。AWSの点数は、試験数日後に申し込みサイトから確認することができました。

難易度の比較

続いて、難易度の比較についてです。前提として、どちらの資格もクラウド資格の中では基礎的なレベルであることに変わりはありません。私が両資格を取得する中で感じた、難易度の差を紹介します。

AWSクラウドプラクティショナーの難易度

AWSクラウドプラクティショナーは、AWSの各種サービス名や特徴を幅広く覚える必要があるのが特徴です。例えば、ストレージサービスだけでも「S3」「EBS」「EFS」など複数あり、それぞれの用途や違いを理解していなければ解けない問題が出題されます。

また、「責任共有モデル」や「セキュリティ関連の用語」など、AWS特有の概念に慣れていないと混乱しやすい分野もあります。私自身も最初は似た用語に惑わされ、模擬試験で正答率が5割程度にとどまっていました。

つまり、AWSの世界観に慣れるまでは少しハードルを感じる試験だと思います。

ただし、出題範囲は基礎的な内容が中心なので、模擬試験で繰り返し学習すれば短期間で合格できるレベルです。私自身も1ヶ月で合格できました。

AZ-900の難易度

AZ-900は、理解重視で暗記要素がやや少なめです。問題文もAWSに比べて読みやすく、サービス名に「Azure」と付いているため、サービスの用途が直感的に分かりやすいのも特徴です。

また、問題文の中にヒントが含まれているケースもあり、「文章をしっかり読めば答えにたどり着ける」問題が多いと感じました。そのため、初めてクラウドを学ぶ方でも取り組みやすい試験だと思います。

ただし、Microsoft独自の概念や用語(リソースグループやARMなど)には慣れる必要があります。これらを理解していないと、選択肢の区別に迷う可能性がありますので、模擬試験を解いてしっかりと対策しましょう。

実際に受けて感じた難易度差

私の体感では、AWSクラウドプラクティショナーの方がやや難易度が高いと感じました。サービス名の数が多く暗記要素が強いため、慣れるまでに時間がかかることが理由です。私も中々似たような名前の違いを理解できず、模擬試験の点数が伸び悩んでいました。

一方で、AZ-900は「理解できれば解ける」問題が多いため、学習初期から点数が伸びやすいと感じました。クラウド資格に初めて挑戦する方には、AZ-900の方が取り組みやすいかもしれません。

勉強方法の比較

次は、勉強方法の比較です。ここでは両資格での違いにのみ触れますので、具体的な勉強法は各資格の勉強方法を紹介した記事をご覧ください。

AWSクラウドプラクティショナーの勉強法

AWSクラウドプラクティショナーは、参考書Udemyの問題集を使用して勉強しました。Udemyでも講座はありましたが、実機操作などもあって講座時間がとても長く、参考書の方が早く合格できると判断しました。

基本的に問題集を何度も解いていきますが、試験では問題集とは異なる問題が多く出題された印象でした。そのため、ただ問題を解けるようにするだけではなく、解説を読む誤りの選択肢の内容も理解しておくなどの対応が必要だと思います。

AZ-900の勉強法

AZ-900は、Udemyの講座、問題集で勉強しました。勉強方法を紹介した記事でUdemyの講座を紹介していますが、ボリューム的にもちょうど良く、一通りインプットするには最適な講座になっています。

AZ-900では問題集と同じような問題が試験でも出題された印象だったため、問題集をきっちりできるようにしておけば十分合格できると思います。

勉強時間はほぼ同じ

どちらの資格も、私は1ヶ月の勉強で取得できました。仕事をしながら、平日1時間、休日1~2時間の勉強で合格できましたので、しっかりと勉強の時間を確保し、計画を立てて勉強していけば、合格できるはずです!

どちらを取るべきか?

可能ならどちらも取りたい

私の結論としては、「可能なら両方とも取るべき!」です。AWSとAzureの両資格を取得して感じたメリットは、2つの製品同士の紐付けができるということです。両方を知っていることでエンジニアとしての価値も上がり、転職やキャリアアップの選択肢も広がります。時間とお金を割いて勉強する価値は十分にあります!

両方の資格を取得する場合は、AZ-900から取得することをおすすめします。理由は以下の通りです。

  • 問題文が理解しやすい
  • 暗記要素が少なく、クラウド初心者でも取り組みやすい
  • サービス名に「Azure」が付くため直感的に覚えやすい
  • 問題集と実際の問題が近く、勉強しやすい

AZ-900を取得しておくことで、AWSを勉強する際に「Azureだとこれに対応してるやつだ!」と対応付けもでき、より早く理解することができます。

片方だけならAZ-900がおすすめ

「時間がなくて、片方しか取れない、、」という人もいると思います。その場合もおすすめはAZ-900です。理由は上記のAZ-900を先に取りたい理由と同様です。

また、AWSには3年間の有効期限がありますが、AZ-900には有効期限がありません。(Azureの他資格は有効期限があります。)時間のない人でも、1度取得すれば一生所持できる資格なので、おすすめです。

まとめ

AWSクラウドプラクティショナーとAZ-900は、どちらもクラウドの入門資格として価値がありますが、試験形式・難易度・勉強方法には違いがあります。

取得する順番を迷っている人や、どちらか片方の資格を取りたい人は、「AZ-900」をおすすめします。とはいえ、業務でAWSを使用するなどがあれば、好きな方を取得していただければと思います。

私は両方を取得したことで、クラウドサービスの基礎を幅広く理解でき、仕事でも選択肢が広がりました。これから受験する方は、自分のキャリアや業務環境に合わせて、最適な順序で挑戦してみてください!